表出するということ

心の中のものを表し出すこと。

 

もやもやしたものを飼っている。

誰かに触れたとき、自然を感じたとき、人生を振り返ったとき、

行き詰まったとき、言葉にできない喜びを噛み締めているとき、

もやもやしたものが成長していく。

 

表現する術を持ち合わせていなかった。

 

 

ピアノを弾くのが好きだった。

楽譜を読むのは嫌いだった。

 

絵を描くのが好きだった。

美術の時間は嫌いだった。

 

決められたルールの上では途端にできなくなる。

 

そうしているうちに、

ピアノを弾かなくなった。

絵も描かなくなった。

誰も知らない今作った歌も歌わなくなった。

ありがちな定型的な感想文しか書かなくなった。

 

もやもやしたものが大きくなって

濃縮されて黒ずんでいった。

 

それは大人になったからだと、大人たちは言うだろうか。

 

 

この歳になって、コードを覚えた。

音が頭の中の泉から少しずつ湧き上がってくる感覚を久々に感じた。

 

表出する術を一つ身につけたらしい。

 

黒ずんだものでもいいから、

こうやって自分の中のものを少しずつ出していけたらいいと思う。